できそこないの男たち

できそこないの男たち (光文社新書)

できそこないの男たち (光文社新書)

・生物の歴史においてオスはメスが産み出した使い走りでしかない。

メスかたメスへ、女系という縦糸だけで長い間、生命はずっと紡がれていた。

その縦糸と縦糸をある時、橋渡しし、情報を交換して変化をもたらす。

その変化が、変遷する環境を生き抜く上で有用である。

そのような選択圧が働いた結果、メスの遺伝子を別のメスへ、

正確にいえば、ママの遺伝子を別の娘のところへ運ぶ役割を果たす「運び屋」としてオスが作り出された。

それまで基本仕様だったメスの体を作りかえることによってオスが産み出された。

オスの体の仕組みには急造故の不整合や不具合が残り、

メスの体に比べその安定性がやや低いものとなったことはやむをえないことだった。

寿命が短く、様々な病気にかかりやすく、精神的・身体的ストレスにも脆弱なものとなった。

それでもオスは、けなげにも自らに課せられた役割を果たすため、世界のあらゆるところへ出かけて行った。