薬はこうしてやっと効く
からだビックリ!薬はこうしてやっと効く ―苦労多きからだの中の薬物動態― (知りたい!サイエンス)
- 作者: 中西貴之
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2008/11/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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●グレープフルーツジュースと薬の酸っぱい関係
近年、グレープフルーツジュースを飲んだだけで、
薬の効き方が劇的に変化する危険があることが知られてきた。
1989年アメリカの科学者バイレイらは、高血圧症治療薬であるフェロジピンの臨床試験において
グレープフルーツジュースを飲むと体内に吸収される薬の量が4〜5倍も増加することに気づいた。
また、オレンジジュースなど同じ柑橘系のジュースではそのような異常は起きず、
グレープフルーツジュースに限定される現象であった。
この現象を研究するとグレープフルーツジュースが薬の代謝分解を妨害していることが分かった。
●シトクロムP450の違いが個人の違い
薬は服用する前の体調や生活習慣によって効き方は変化する。また、遺伝子の問題で薬のよく効く人と
効かない人がいる。
薬がよく効く人は薬を代謝分解する能力が弱く、
薬の効かない人は薬を代謝分解して無効にする処理が素早いと
考えられる。
●アルコールと脳
アルコールの作用は脳を、興奮状態にするのではなく、脳の作用を抑えることですので、
飲酒が過ぎると本能を司る大脳辺縁系さえ押さえ込まれてしまう。
アルコールは脳のあらゆる領域の作用を次々に抑制するので、やがて小脳が抑制されて
身体が動かなくなり、
呼吸を司る延髄の動きも麻痺してしまい、急性アルコール中毒で死に至る。