薬はこうしてやっと効く

からだビックリ!薬はこうしてやっと効く ―苦労多きからだの中の薬物動態― (知りたい!サイエンス)

からだビックリ!薬はこうしてやっと効く ―苦労多きからだの中の薬物動態― (知りたい!サイエンス)

グレープフルーツジュースと薬の酸っぱい関係

近年、グレープフルーツジュースを飲んだだけで、

薬の効き方が劇的に変化する危険があることが知られてきた。

1989年アメリカの科学者バイレイらは、高血圧症治療薬であるフェロジピンの臨床試験において

グレープフルーツジュースを飲むと体内に吸収される薬の量が4〜5倍も増加することに気づいた。

また、オレンジジュースなど同じ柑橘系のジュースではそのような異常は起きず、

グレープフルーツジュースに限定される現象であった。

この現象を研究するとグレープフルーツジュースが薬の代謝分解を妨害していることが分かった。

●シトクロムP450の違いが個人の違い

薬は服用する前の体調や生活習慣によって効き方は変化する。また、遺伝子の問題で薬のよく効く人と

効かない人がいる。


薬がよく効く人は薬を代謝分解する能力が弱く、

薬の効かない人は薬を代謝分解して無効にする処理が素早いと

考えられる。


●アルコールと脳

アルコールの作用は脳を、興奮状態にするのではなく、脳の作用を抑えることですので、

飲酒が過ぎると本能を司る大脳辺縁系さえ押さえ込まれてしまう。

アルコールは脳のあらゆる領域の作用を次々に抑制するので、やがて小脳が抑制されて

身体が動かなくなり、

呼吸を司る延髄の動きも麻痺してしまい、急性アルコール中毒で死に至る。